2人が本棚に入れています
本棚に追加
「Aya! 踊ろう!」
「李凛様。覚えていてくださったのですか。私の子守歌を……」
Ayaは、珍しくKou以外の人前で、歓喜している。
「るーるるー。るるーるるー。らららららーら、らららら……。らららららららるるるるる。らららららー……」
「Aya……。そんなこともしていたのか。台北辺りで気持ちが揺れていたのも、合点が行くな」
Kouは、Ayaの新しい側面に触れ、花が風に吹かれるように心を任せていた。
◇◇◇
――台北駅。
駅は広いので、コインロッカーの特定に少々の時間が必要だったが、その分、死角も多く、Ayaは黒い大理石の壁と通路を飾る緑に隠れた。
Ayaは、シュヴァルツ・ドラッヘと刻印された銃、コルト・パイソン六インチを常にガンホルダーに入れている。
装弾数が六のリボルバー式ハンドガンだ。
八インチパイソンハンターを模して着脱可能スコープを用意したが、Ayaの視力は左右とも五.〇と優れており、二十五メートル離れていてもよく見える上、動体視力は雌豹並みにあるので、使わない。
「この頃、ルーティーンは止めたのかい? Aya」
最初のコメントを投稿しよう!