第三話 Ayaの狙う組織J

4/6
前へ
/263ページ
次へ
「Aya! 踊ろう!」 「李凛様。覚えていてくださったのですか。私の子守歌を……」  Ayaは、珍しくKou以外の人前で、歓喜している。 「るーるるー。るるーるるー。らららららーら、らららら……。らららららららるるるるる。らららららー……」 「Aya……。そんなこともしていたのか。台北辺りで気持ちが揺れていたのも、合点が行くな」  Kouは、Ayaの新しい側面に触れ、花が風に吹かれるように心を任せていた。  ◇◇◇  ――台北駅。  駅は広いので、コインロッカーの特定に少々の時間が必要だったが、その分、死角も多く、Ayaは黒い大理石の壁と通路を飾る緑に隠れた。  Ayaは、シュヴァルツ・ドラッヘ(Schwarz Drache)と刻印された銃、コルト・パイソン(Colt Python)六インチを常にガンホルダーに入れている。  装弾数が六のリボルバー式ハンドガンだ。  八インチパイソンハンターを模して着脱可能スコープを用意したが、Ayaの視力は左右とも五.〇と優れており、二十五メートル離れていてもよく見える上、動体視力は雌豹並みにあるので、使わない。 「この頃、ルーティーンは止めたのかい? Aya」     
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加