第三話 Ayaの狙う組織J

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「はっ。恥ずかしくなっただけよ」  小声で黒歴史を隠したがった。 「シュヴァルツ・ドラッヘの刻印を二度撫でると別れたAyaの母に逢えそうな気がするのだろう?」 「……そうなの。私の唯一の肉親、母さんとしか呼んでいなかったから、名前も分からないけれども」  Ayaの弱点がここにあるのは、Kouも承知だ。 「人は、必ず両親の傘のような庇護で、ぬくぬくと育つばかりではないさ。色々あるってことだな」 「Kou……」  Kouは、これからの仕事の為に、Ayaの気持ちをさっと切り返した。 「さ、時間だ。二十四日正午になる」  Kouは、通行人のふりをして、凛の後ろを歩いた。  凛は、黒と茶の猫様キャリーバッグを二つ抱えている。  気の強い凛だが、恐る恐るコインロッカーを探す演技をする。  五メートル向こうから、帽子を目深にかぶり、両手をズボンに突っ込んだ組織Jらしき男が一人で周囲を見回しながら来る。  Ayaは、バイオリンに弓をつがえるように、シュヴァルツ・ドラッヘを構える。  いつ撃ってもいいように、ハンマーを指で引き起こした。  慎重にターゲットをとらえた。  引き金を迷いなく引く。  ターゲット、ロック・オン!  シングルアクションだ……! 「うあああ!」     
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