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だが、車体が揺れたのみで殆ど動かない。
Ayaはフルフェイスが車を動かすことを想定していた。
引き金を引くだけで、ハンマーを即起こす撃発作動機構を用いる。
ダブルアクションだ……!
三発目の球はリアシートから窓をうがち、四発目の弾丸がルームミラーを打ち砕いた。
「ひいいい!」
甲高い悲鳴が上がった。
Ayaは、エアバッグに挟まれている人物を引きずり出した。
「さあ、観念しなさいね。組織Jのアジトへ連れて行くのよ」
どこかやわらかいと思ったら、小ぶりながらバストがある。
Ayaの引きずり出した人物は女性だった。
フルフェイスヘルメットを取ると、二十代半ば程度で、アジア系の面差しをしている。
「私は、何にも知りません。アンダー・リーフズには、何も知らされないのです。幹部ではない限り分からないと思います」
Ayaがねめつけても、知らぬ存ぜぬと首を振る。
「質問を変えるわ。アンダー・リーフズとは、何かしら?」
「その……」
アンダー・リーフズの女を後ろ手に組み伏した。
「言い淀まないで」
「ひいっ。階級制度の下の者どもを指します」
Ayaは、女のポロシャツの襟元をつかんで、ぐいっと顔を引き寄せた。
「どんな、集団なのかしら? 組織Jとは」
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