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「我々は、宗教団体です。暴力には反対です」
Ayaは、一瞬、息をのむ。
「なっ。宗教ですって?」
その時だった。
女の足元に銃弾が一発、口止めを込めて撃たれた。
Ayaは、撃たれた方を見た。
緊急避難用の階段からだった。
奥は薄暗いがAyaにはよく見える。
あのハンチング帽の男に姿が似ていた。
「お仲間のお迎えよ。先ずは、あなたを台湾の警察へ突き出さないで、極秘裏に始末しようかしら?」
女は、悲鳴を上げたが、お構いなしに手足を縛り上げ、李家のハイヤーに乗せた。
「アンダー・リーフズの彼女は捕縛したわ。あなたもいらっしゃいな。ハンチング帽の泥棒猫」
声を知られるのを恐れてか、黙って闇に紛れて行った。
「仕方がないわ。あなた、悪さしないでついていらっしゃい」
Ayaの瞳は、雌豹のように光っていた。
◇◇◇
一方、台北駅では、Kouが李凛を李家に送っていた。
李家はハイヤーを何台も所有しており、どこでも顔パスで気軽に乗れる。
Kouは李凛が頷くだけで、何もかもが動いてしまう、この世界が怖いと思った。
大きな門扉のありようはまるで山門のようだった。
長い道を登ると初めて雪のいる所まで辿り着く。
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