第四話 組織Jのやつら

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「我々は、宗教団体です。暴力には反対です」  Ayaは、一瞬、息をのむ。 「なっ。宗教ですって?」  その時だった。  女の足元に銃弾が一発、口止めを込めて撃たれた。  Ayaは、撃たれた方を見た。  緊急避難用の階段からだった。  奥は薄暗いがAyaにはよく見える。  あのハンチング帽の男に姿が似ていた。 「お仲間のお迎えよ。先ずは、あなたを台湾の警察へ突き出さないで、極秘裏に始末しようかしら?」  女は、悲鳴を上げたが、お構いなしに手足を縛り上げ、李家のハイヤーに乗せた。 「アンダー・リーフズの彼女は捕縛したわ。あなたもいらっしゃいな。ハンチング帽の泥棒猫」  声を知られるのを恐れてか、黙って闇に紛れて行った。 「仕方がないわ。あなた、悪さしないでついていらっしゃい」  Ayaの瞳は、雌豹のように光っていた。  ◇◇◇  一方、台北駅では、Kouが李凛を李家に送っていた。  李家はハイヤーを何台も所有しており、どこでも顔パスで気軽に乗れる。  Kouは李凛が頷くだけで、何もかもが動いてしまう、この世界が怖いと思った。  大きな門扉のありようはまるで山門のようだった。  長い道を登ると初めて雪のいる所まで辿り着く。     
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