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胸に手を当ててお辞儀をする。
「ありがとう。手伝ってくれる? 信じい。三人に丁重にお世話をして差し上げて。そうね、先ずはこの方々のお夕飯かしら。第二仮眠室で預かってくださる?」
信なら安心だ。
Ayaは、凛が生後十か月の歩む時期から五歳まで多くの時間を共にしたが、留守をする際は、信が教育係をした縁がある。
「私は、こちらの方々のパスポートの偽造先を調べるわ」
「何でもなさりますな」
「いいえー。友人にお願いするの! きゃっ」
Ayaは、心の中で、Kouなのよ、Kouなのよとはしゃぎたくて仕方がなかった。
一緒にいられるだけで嬉しい。
胸があつくなる。
誰にも知られたくない想いだけれども、隠せないでいるのも事実だ。
胸の奥ではしゃいで、新しいハイヤーを借り、Kouのいる李家総本山へ向かった。
「九十九里浜をずっと追いかけっこしたい気分だわ」
◇◇◇
「何ですって? 新しい組織Jからの封筒ですって!」
Kouが、Jの封蝋がしてあるくたびれた封筒をAyaに渡した。
一見して、虫食いもあり、かなり古く感じられた。
「Aya。調べてみたが、前回の組織Jの赤い封蝋に間違いがない。型が一致した」
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