第五話 むくへの手紙

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 胸に手を当ててお辞儀をする。 「ありがとう。手伝ってくれる? 信じい。三人に丁重にお世話をして差し上げて。そうね、先ずはこの方々のお夕飯かしら。第二仮眠室で預かってくださる?」  信なら安心だ。  Ayaは、凛が生後十か月の歩む時期から五歳まで多くの時間を共にしたが、留守をする際は、信が教育係をした縁がある。 「私は、こちらの方々のパスポートの偽造先を調べるわ」 「何でもなさりますな」 「いいえー。友人にお願いするの! きゃっ」  Ayaは、心の中で、Kouなのよ、Kouなのよとはしゃぎたくて仕方がなかった。  一緒にいられるだけで嬉しい。  胸があつくなる。  誰にも知られたくない想いだけれども、隠せないでいるのも事実だ。  胸の奥ではしゃいで、新しいハイヤーを借り、Kouのいる李家総本山へ向かった。 「九十九里浜(くじゅうくりはま)をずっと追いかけっこしたい気分だわ」  ◇◇◇ 「何ですって? 新しい組織Jからの封筒ですって!」  Kouが、Jの封蝋がしてあるくたびれた封筒をAyaに渡した。  一見して、虫食いもあり、かなり古く感じられた。 「Aya。調べてみたが、前回の組織Jの赤い封蝋に間違いがない。型が一致した」     
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