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恐れ知らずのイベリスの態度に、死神は瞬間、殺せるほどの殺気を出した。
これには、さすがのイベリスも身ぶるいをしたため、垂れて来た汗を隠すように口角を上げてなんとか自我を保った。
「本気になれば、俺もそうなるってことっすね・・・」
「分かったならもっと多くの人間を連れて逝け」
「へいへい」
しばらく歩いたイベリスは、足を止める。
そこに咲き乱れている曼珠紗華は、鮮やかな色をしているものと、色が褪せているものがある。
ふと、何かが近づいてきて、それがいつも一人静のもとへ来る蝶だと気付くのに、そう時間はかからなかった。
その蝶は、どういうわけかイベリスにはまったく近寄らず、近くの綺麗に咲いた曼珠紗華に止まると、その花はなぜか枯れていく。
イベリスが近づくと蝶は飛んでいってしまい、足元には枯れた曼珠紗華が横たわる。
「・・・無慈悲なもんだ」
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