草原に咲く破壊王

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 破壊王は自分に対し攻撃を放った何者かの姿を確認するべく後ろを振り返る。  自分の後ろで立っていた者は、今自分自身が致命傷を与えたはずの人物。  ハザマだった。 「ッ!?」  破壊王は驚き顔を前方へと戻す。しかし、そこに居るはずの喉元から大量の血が溢れ倒れているハザマの姿はどこにもなかった。 「仙法術・幻術・悪霧(あくむ)(つく)りだす双子(ふたご)鏡台(きょうだい)。オマエが切り裂いたのは、この具現化した鏡に映る俺の姿を形成した、ただの霧…ッ!?」  ハザマが言い終わるや否や、破壊王は左手の鉤爪を素早く振り上げた。それを間一髪の所でバク転で後方へ飛び避ける。 「ふぅ……」  その素早い攻撃を完璧に避けたと思ったのだが、避けきる事は出来ていなかった。  ハザマの右頬には1本の深い傷ができ、そこから真っ赤な血が生まれて来る。それはそのまま顎を伝い顎先からポタポタと地面に垂れる。  しかし、ハザマは取り乱す事無く軽く息を吐き、落ち着きと呼吸を取り戻した。  …恐らく真徹纏の防御は通じない。そしてとんでもない速さの攻撃も完璧に躱しきれない…か。参ったな。コイツは確かにとんでもなく強い…。  もしかしたら自分はこの場所で と、最悪な可能性が頭を過ったのだが、ハザマの浮かべる表情には恐ろしさや怖さと言ったものは見えなかった。 「俺は…この状況を楽しんでいるのか?」  眼の前に君臨する強大な敵と対峙しながらも、むしろ心の底から今を楽しんでいる表情をしていた。 「よし! どんどん行くか! 仙法術・刃生成術・刈真射太刀!!」  ハザマは右腕を振り、刃生成術で生み出した斬撃を放つ。その約7枚の真空の刃は破壊王の羽織る高い防御力を誇るレザーのロングコート、そして破壊王自身の肉体を切り裂く為襲い掛かった。
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