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『俺はなぜ事故なんて起こしてしまったのだろう?』
記憶喪失とまではいかないまでも、霊の中には死に直面して、一時的なショックから自分の死を受け入れられない者や死の前後が曖昧になる者がいる。
グランマのところにやって来るのはそういった霊が多いのだが……。
「施設の入居者が亡くなってね、昨日、お通夜だったんだよ」
「――で、また案件を拾ったってこと?」
「引き受けた、だよ」
グランマがロイヤルホワイトスワンに入居して二日目のことだった。突然、外出許可を貰い八重さんと帰宅した。
「それで、当初の目的だった記憶喪失の方は?」
「そちらと並行してだよ」
母手作りの南瓜パイにフォークを入れるとグランマが涼しい顔で答えた。そして、その一片を口に入れニッコリ微笑む。
「やっぱり家の味が一番だね」
入居者の生活は表向き自由らしい。
表向きというのは、年齢が関係するようだ。
「私たちはお試しだから外出や外泊届けさえ出せば、出入り自由なんだけどね」
「認知症と診断されると、生活を拘束されて外出もままならないの」
そういえば、あの施設の入居者は70歳以上だった。
「年を重ねると、うっかりミスや物忘れが多くなるのなんて当たり前のことなのよ。それをあの施設は全て認知症の症状だと言うの。偏見にも程があるわ!」
八重さんがダンと拳でテーブルを叩く。珍しく怒っているようだ。
しかし、八重さんのお怒りも当然だ。そんなの理不尽だ。
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