私たちの日常

11/12

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
をしてくる生徒も少ないかもしれない。そう父と話し合い、必死で猛勉強して入った先がこの有様だ。こいつらも、勉強だけはできるから、将来優秀な地位につくのだろうか。頭は良くても人権意識の欠片もない輩が公務員やら、政治家やらになるのなら、当然世の中も円のような人間を徹底的に苛め抜く構造になるはずだ。円の心が黒に塗りつぶされていく。どこまで逃げても、この学校を卒業して社会に出ても、私が人と違う限り、いじめは追いかけてくるのか…。 「ええと、問題27番、出席番号27番一青さん」  修羅場の地獄に迷い込んできた道化のような担任の声が教卓から飛んでくる。円ははっと伏していた顔を上げ、ノートと黒板を見比べる。大丈夫だ、解けていた問題だ。そのまま、さきほどひそひそ話をしていた同級生に、特に件の女子生徒にはこれでもかの殺気を込めた一瞥をくれてやりながら席を立つ。その視線にいやらしい笑顔と、生意気だという凄みを載せた威嚇の表情で返される。無視して、黒板に向かう。さっと足が進行方向に伸びてくる。予測していたので、ひょいと跨ぐ。 「ジョーダンじゃんジョーダン。あいつマジ空気読めねえよな~」 ふと、担任には本当にこい
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加