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番組が終わったら連絡が来るのかなと思っていたけど、彼からの連絡は一向に無かった。
その間、ネットニュースやSNSは大荒れ。相手の女性はどこの誰で、どんな人となりなのか、憶測が飛び交っていた。
ーーーピンポーン
突然、鳴ったインターホン。
カメラの画像を確認して、驚いた。つい1時間ほど前までテレビに映っていた彼が、そこに立っていたからだ。
慌てて、玄関まで走る。
「ちょっ、何して…!」
最後まで言い切る前に、部屋の中に押し込まれて。彼の温もりに包まれた。何が起きたのか分からなくて、目をパチパチする。
「な、」
「…くなった、」
「へ?」
「無くなった、記事」
「…えっ!?」
彼の顔を覗き込む。すると、かなり満足そうな顔をしていた。
「な、何で…?」
「記事が出る前に言ったから。今更出しても、もうネットニュースに流れてるし、何の話題性もねえよ」
「た、確かに…」
秘策、とは言ってたけど。まさかここまで考えて動いているとは思わなかった。
「思いつきで言っちゃったのかと…」
「バカ、そんなことしねえよ」
「良かった…迷惑かけちゃったかと思った…」
「…迷惑なんてあるわけねえだろ、」
ちょっとだけ、涙が出た。安心して、気が緩んだんだと思う。
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