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「…へっ?」
想定外の発言過ぎて、素っ頓狂な声が出た。
そんな私を他所に、不貞腐れた様子で肩肘を突く彼。
「俺が居る目の前で普通に観てることもあるけどさ…あれ、何?」
「な、何って言われても…」
私からすれば、彼の出演作をチェックしたいっていう気持ちだったんだけど。
そりゃ、物理的に触れ合ってるからいい気はしないけど、前に「気持ちは全然入ってない」って断言してたし。仕事でやってるって分かってるのに、「そんなことしないで!」って感情的になる年齢でもないし。
サクラちゃんにも言ったけど、麗と結婚しているのは私だし、関係も良好だし、特に心配はしていない。信用しているからこそ、そう思っているのだ。
だけど、彼は気に入らない様子で。相変わらずご機嫌ナナメだった。
「今回の映画の件もさ、濡れ場あるっつってんのに反応薄いしさ、」
それに関しては、別に大人のビデオみたいに本当にする訳じゃないのは分かっているから。映像で観るのは確かに少し嫌なのかもしれないけど。彼の仕事を応援している妻としては、口を出す話ではないと思っている。
「それは…仕事だから、仕方ないじゃん、」
すると彼は唇を尖らせた。
ーーー妬けよ、ちょっとくらい。
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