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「昨日はありがとうございました」
緊張していることを悟られないように、毅然として頭を下げる。
白金さんは首を傾げ、
「お前が届けてくれたのか?」
「はい、昨日助けてもらって白金さんが帰って行った後に下を見たら落ちてたんです」
「そうか、実は今も財布を探しに行ってたところだったんだよ。これから学校なのに悪いな」
「いえ、まだ時間ありますし大丈夫です」
「そうか、でも今日から二年生だろ?始業式に遅れないようにするんだぞ」
え?
今なんて言った?
どうして今日から二年生に上がること知ってるの?
昨日の家を知ってることといい、やっぱりストーカー?
怖いけどそこをちゃんと確かめなきゃ、
『どうして家の場所とか、二年生の進級の事とか知ってるんですか?』
って聞こうとしたら、白金さんは腕時計を見て、
「やべえ、もうこんな時間だ、仕事に遅れる。お前も遅刻するなよ。それと、昨日も言ったけど俺のことは白金先生って呼べ、分かったな」
「ちょ、ちょっと待ってください」
私の呼びかけに答えることなく白金さんはマンションの自分の部屋に入って行ってしまった。
先生って、昨日言ってたのは本気だったの?
ていうか、先生って何のこと?
私はどうすることも出来ないので白金さんのマンションを出てから、まだ早いけど学校に向かうことにした。
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