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私の話しを聞いた美月は、
「もしかしたら、その人が奈心の運命の相手かもしれないわね」
とか言い出した。
美月ってば意外とロマンチスト。
じゃなくて!
「何でそうなるの!もしかしたらストーカーかもしれないんだよ!だっておかしいでしょ?私は会ったこと無いのに向こうはこっちの情報知ってるなんて!」
私は早口で一気にまくし立てた。
「おかしいかなんて分からないじゃない。ただ奈心が忘れてるだけかもしれないでしょ、本当に心当たり無いの?」
私ももしかしたら忘れてるのかもって思って一生懸命思い出そうとしたけど、やっぱり白金さんには会ったこと無いし、顔も見たこと無かった。
白金さんみたいな格好いい人一度見たら忘れないと思うし。
まあ、私がただ単に今まで男の人に興味が無かっただけかもしれないけど、というか今も興味は無いけど。
男の人を格好いいと思ったことが初めてだし。
「ほんとに心当たり無いんだよー」
「でも、奈心が今まで男の人が近くにいて平気だったところなんて見たことないわ。同学年の男子ですら怖いんでしょ?いつも男子が来ると顔が引きつってるものね。その奈心が近くに来られても大丈夫な人がいるなんて、どんな人なのか見てみたいわ」
「その人限定なんじゃなくて、もしかしたら男性恐怖症が克服されて来たのかも」
なんて言ってよそ見をしながら歩いてたら、
どんっ
人にぶつかった。
「あっ、ごめんなさい!」
ぶつかった人の方を見て私は固まった。
なぜなら、それは年配の男の人だったから。
固まった私を見て美月は、
「奈心の男性恐怖症が治るのはまだまだね」
と苦笑していた。
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