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私はこれ以上保護者の話しをされないように、お礼を言ってその場から立ち去ろうとした。
そこで予想外のことが起きた。
なんとこの人、私の腕を掴んで来た。
そして予想外のことを言った。
「家の近くまで送ってやる」
「え?」
その申し出にびっくりして思わず聞き返す私。
「だから、お前の家の近くまで送ってやる」
「で、でも」
私がどう断ろうかと考えていると、
「そんな不安そうな顔したヤツを放って帰れない」
……心配してくれてたんだ。
実は一人でここから帰るのが怖かった私は、助けてくれたこの人に送ってもらうことにした。
深々と頭を下げて、
「お願いします」
顔を上げてその人の顔を初めて見た。
瞬間、私の目は助けてくれたその人に釘付けになった。
今まで男の人をかっこいいと思ったことがなかった私が、初めて男の人をかっこいいと思った。
背は高くて、細身。
顔はちっちゃくて、目は切れ長。
髪は黒髪で無造作ヘア?な感じ。
モデルとかかな?
私が見とれていると男の人は、さっさと私に背を向けて歩き出した。
歩くのが異常に速い。
身長差があるから、歩幅が違うし私は平均よりも少し背が低いから、普通より身長の高いこの人に着いて行くのは大変そうだ。
「ま、待って」
私はどんどん離されて行くその背中を小走りで追いかけた。
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