水川君

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水川君

歩き慣れたいつもの通学路。 美月といつもの場所で合流して、おしゃべりしながら学校に向かう。 「そうだ、聞いてよ美月」 私が言うと美月は、ん?と首を傾げてきた。 その仕草が美月のいつものクールビューティーな感じと違って可愛くて、女の私でもドキッとした。 美月はたまにこういう可愛い反応をする時がある。 「奈心、何で黙ってるの?聞いて欲しい事があるんでしょ」 「あ、うん。そうだった、それがね……」 私は美月に美沙緒ちゃんとの朝の出来事を話した。 「……という訳なんだけど」 「それは確かにびっくりするわね。奈心、何も心当たり無いの?」 「美沙緒ちゃん昨日の夜、私が玄関の外で誰かと話してたのが気になったみたいで、その事を聞いてきたの」 「誰かって誰よ」 「えと、……近所の人」 まさか白金先生と話してたとは言えず、またしても美月に嘘をついてしまった。 「心配して聞いて来たんじゃないの?」 そこで私は違うと言いそうになったけど、それを言うと追求されそうな気がしたから、言わないで美月の言うことに頷いておいた。 「うん、そうかもね」 これ以上この話を続けるとボロが出そうだったので、私は無理やり話題を変える。 「ねぇ、美月は彼氏とか作らないの?好きな人とか」 「いないわよそんな人」 無表情でそう言う美月。 「そうなんだ。でも、美月キレイだし結構狙ってる男子多いみたいだよ?」 「……興味無いわ」 そう言った美月の寂しそうな表情は気になったけど、隠し事をしてる私がそれ以上聞ける訳もなく、納得した振りをするしか無かった。
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