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見つかったら怒られるけど、そんなことも言ってられないので廊下を走って購買に向かう。
購買が1階で私の教室は2階。
階段を駆け下りていると、丁度下から水川君が上ってくるのが見えた。
中学の頃から話しかけて来なくなったし、今更話しかけて来る用も無いと思うけど。
朝、私に向かって水川君が笑いかけて来たとか恋歌が言ってたせいで、ちょっとビクビクしてしまう。
気付いてない風を装って横を通り過ぎようとしたその時。
「黒須?」
ぎゃーーー!なんで今日に限って話しかけてくるのぉ!
口には出さないけど心の中でそう叫びながらも、
「ど、どうも」
と挨拶と言えるのかも分からない言葉を返す。
しかも、それだけなのに若干挙動不審になってしまった。
水川君は、特にそんなこと気にしてないみたいで更に話続けた。
「黒須、もしかして購買行こうとしてる?」
私は俯きながら、
「うん、そうだけど……」
とだけ返事をした。
すると水川君は、
「言いにくいんだけど……」
と本当に言いにくそうに言った。
「購買、もう売り切れたよ」
と私にとってはなかなかの衝撃だった。
でもそれを顔に出さないで、なんでも無い風を装った。
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