助けてくれた人は…

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しばらく歩いていて、私はある疑問を持った。 「あ、あのぅ。どうして私の家の方向が分かるんですか?私教えましたっけ?」 「…………」 さっきから無言のこの人は、歩く速度を緩めずスタスタと歩いて行く。 私の家は少し入り組んだところにあって、家に来る人は一回や二回じゃ覚えられないのに。 もしかして、ストーカー!? そんな事を考えていると携帯の着信音が鳴って、私の思考は中断された。 着信音は私のじゃないから、この人のみたい。 男の人は履いているダメージジーンズの後ろのポケットからスマホを取り出して通話ボタンを押した。 「もしもし?ああ、もう少し遅くなりそう。ちょっと子豚を家まで送り届けてから行くから。そう、じゃあな」 それだけ言うと通話終了ボタンを押して、またダメージジーンズの後ろポケットにスマホをしまった。 子豚って私のこと? 確かに背は低いし、顔もどっちかというと丸顔だけど、子豚はないよ! 気にしてるのに……! 「あの!私子豚じゃないです、黒須奈心(くろす なこ)って言う立派な名前がありますから」
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