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下校時間も過ぎてるし、あと残ってるのは部活をしてる人くらいだから、この時間は下駄箱のところには誰もいなかった。
もう美月も恋歌も帰っちゃったよね。
こんな事なら一緒に帰れば良かったな。
そう思いながら靴を履き替えようとしたその時。
「黒須!」
と声を掛けられ振り向くと、そこにいたのは絵理菜先輩に捕まっていたはずの白金先生。
「あれ、先生。絵理菜先輩はどうしたんですか?」
「あいつらなら帰るからって荷物取りに教室戻ったぞ」
「あ、そうなんですか」
それを聞いてちょっとホッとしてる自分がいることに驚いた。
「で、どうかしたのか?」
「え……」
「俺に何か用があったんじゃなかったのか」
そこまで言われてやっと先生を探していた用を思い出した。
「そうだ、忘れてました。先生に相談したいことがあったんです」
「なんだ、勉強のことか?」
「じゃないんですけど……、ちょっと」
すると先生は少し考える素振りを見せて、
「よし、じゃあ数学準備室行くか」
「へ?」
思わず間抜けな声を出してしまった。
「えっと、勉強の事じゃないんです……」
「分かってるよ。誰かに聞かれたくない話なんだろ?」
「えっと、まぁ」
「数学準備室なら人も来ないし、誰かに聞かれる心配も無いだろ」
あ、そういうことか。
でも、誰も来ないということは先生と2人かぁ。
ちょっと尻込みしてしまう。
私がそんなことを考えている間にも先生は、
「よし、行くかー」
と行ってしまう。
私行くって言ってないのに!
「ちょっと、待ってくださいよー」
でも先生はどんどん進んで行ってしまうから私は後ろを着いて行くしかなかった。
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