数学準備室

7/7
前へ
/74ページ
次へ
……でも、なんで私こんなに必死になってるんだろ? 「まぁまぁ、睨むなって。悪かったよ」 いつの間にか先生を睨んでいたらしい。 そうだ、それよりも今は聞きたいことがあるんだった! 「水川君と居たとこ見てたなら話は早いです。あのパンのお返しを何にしたらいいかって聞きたかったんです」 本題を切り出す。 「ああー、そういうことか。黒須お前律儀だな」 律儀?いや、だって……。 「だってあのメロンパン購買で一番人気なんですよ!そんな貴重な物貰っといて私には知らんぷり出来ません」 私は、一気にまくし立てる。 「で、俺にお返し何がいいか考えてくれと」 「はい……、一緒に考えてくれそうな人先生しかいなくて……」 先生は一瞬考える素振りをして、 「そんなの水川に直接聞けばいいんじゃないか?それか、パン貰ったなら好きなパン買ってやるとか。別にサプライズするような事でも無いだろ?」 当たり前のようにそう言った。 「…………」 正論だった。 「おい、なんで黙るんだよ」 「……その手は考えてませんでした」 「難しく考え過ぎなんだよ」 「じゃあ……、明日にでも聞いてみます!!」 私が勢いよく言うと先生は若干驚いた顔で。 「お、おお」 「えへへ、やっぱり先生に聞いて良かったです、ありがとうございました!それじゃあ、また明日!」 「あ、おいっ」 それだけ言って数学準備室を後にした。 先生が何か言いかけたのも聞こえなかった。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加