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……でも、なんで私こんなに必死になってるんだろ?
「まぁまぁ、睨むなって。悪かったよ」
いつの間にか先生を睨んでいたらしい。
そうだ、それよりも今は聞きたいことがあるんだった!
「水川君と居たとこ見てたなら話は早いです。あのパンのお返しを何にしたらいいかって聞きたかったんです」
本題を切り出す。
「ああー、そういうことか。黒須お前律儀だな」
律儀?いや、だって……。
「だってあのメロンパン購買で一番人気なんですよ!そんな貴重な物貰っといて私には知らんぷり出来ません」
私は、一気にまくし立てる。
「で、俺にお返し何がいいか考えてくれと」
「はい……、一緒に考えてくれそうな人先生しかいなくて……」
先生は一瞬考える素振りをして、
「そんなの水川に直接聞けばいいんじゃないか?それか、パン貰ったなら好きなパン買ってやるとか。別にサプライズするような事でも無いだろ?」
当たり前のようにそう言った。
「…………」
正論だった。
「おい、なんで黙るんだよ」
「……その手は考えてませんでした」
「難しく考え過ぎなんだよ」
「じゃあ……、明日にでも聞いてみます!!」
私が勢いよく言うと先生は若干驚いた顔で。
「お、おお」
「えへへ、やっぱり先生に聞いて良かったです、ありがとうございました!それじゃあ、また明日!」
「あ、おいっ」
それだけ言って数学準備室を後にした。
先生が何か言いかけたのも聞こえなかった。
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