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思わずしどろもどろになる私。
もしかして先生、私が相談した事バラすつもり!?
「なんで先生がその事知ってるんですか」
水川君が先生に聞く。
ど、どうしようっ。
慌てた私は何も言えずに、二人の顔を交互に見る。
すると先生が口を開いた。
「ああ、昨日たまたまお前らが話してるとこに通りかかってな。話が聞こえたからその時の事かと思ったんだが……。違ったか、黒須?」
先生が助け船を出してくれたんだと分かった。
それでも私は上手く喋る事が出来なくて。
「えと、あの……」
しどろもどろのまま。
せっかく先生が助けてくれようとしたのに台無し……。
「そうなのか?黒須」
コクン
私は頷くだけで精いっぱいだった。
すると。
「別にお礼なんていいよ」
水川君は笑顔でそう言った。
「別にお礼が欲しくてあげたわけじゃないし」
そう言われてはしょうがない。
不服だけど、私は大人しく引き下がる事にした。
水川君は苦笑しながら。
「なんか納得してなさそうだな。じゃあなんか困ったら、黒須に助けてもらうよ」
「えっ」
「そんな驚かなくても。忘れ物した時とかに黒須に借りに行くよ。ほら、俺忘れ物多いから。お返しはそれでいいかな?」
「う、うん。そんな事でいいなら」
「じゃ、それで決まりな」
水川君が満面の笑みでそう言ってくる。
忘れ物貸すくらいなら、大丈夫だよね。
その時先生が、
「おい、お前らー。そろそろ授業始まるぞ」
と声を掛けてくれた。
それだけ言うと先生は先に教室に向かう。
っ……、やっと解放されるっ!
「黒須、遅れるぞ!」
「あ、う、うん」
私も水川君の後ろを少し離れて、小走りで着いていくのだった。
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