助けてくれた人は…

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私が少し怒りながら言うと、 「ああ、悪い。そういえば俺の自己紹介がまだだった」 自己紹介しろって言ってるわけじゃないんだけど……。 そこで男の人は初めて笑顔を見せた。 さっきからずっと真顔だったのに。 「俺は白金隼(しろがね しゅん)よろしくな奈心」 私はまたしても、今度はその笑顔に見とれてしまった。 ん? よろしく? しかも呼び捨て? よろしくって言うのは自己紹介の流れかもしれないけど、さっき会ったばっかりの相手をいきなり呼び捨てってどういうこと? 少し顔がかっこいいからって……。 「会ったばっかりの相手を呼び捨てって失礼だと思います」 私が抗議しようとすると、それを遮って、 「俺の事は白金先生と呼べよ」 とか言い出した。 「は?」 一瞬言ってる意味がわからなかった。 ふざけてるのかと思った。 でも、向こうは真剣に言ってるみたい。 「ここまで来たら大丈夫だな。俺友達待たせてるから、もう行くわ。じゃ、気をつけろよ」 白金さんはさっき歩いて来た道を引き返して行った。 「あの!」 どうして家の場所を知ってるのか聞きたかったけど、 やっぱり歩くのが速い! 声をかけようとした時にはもう姿は見えなくなっていた。
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