助けてくれた人は…

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白金さんが立ち去ってから、私は考え事をしていた。 どうして家の方向を知ってるんだろうとか、初対面で呼び捨てはないよね、とか。 そんな事を考えながら、ふと下を向くと足下に黒い長財布が落ちていた。 もしかして、あの人落として行っちゃったのかもしれない。 だとしたら困ってるだろうな、届けた方がいいかな? でも、もうどこに行ったかわかんなくなっちゃったし、それなら交番に届けたいけど、この辺交番ないし。 さっきの道を引き返すのは出来るだけしたくない。 また酔っ払いに絡まれても嫌だし。 かと言って、このまま放置して帰るのもなぁ。 そこで私は閃いた。 この中に住所とか電話番号がわかるものが入ってるかも。 人の財布を勝手に開けるのは気が引けるけど、これは緊急事態だから仕方ない、と自分に言い聞かせて財布を開けて住所や電話番号のわかるものを探し始めた。 余計なところは見ないようにして、カードの入っているところを探していると、車の免許証が出て来た。 住所が書いてあるから、明日朝一番で届けに行こう。 ここからそんなに遠い所じゃないから、朝届けてそのまま学校に行けば余裕で間に合うな。 そう考えて家まであと少しの道を歩き出した。
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