ずいぶんたくさん持ってきたな

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ずいぶんたくさん持ってきたな

 友達のひとりがさっそく、次の土曜日に両手いっぱいのゴミを抱えて僕の部屋にやってきた。まるで道端に置かれたゴミを手当たり次第に盗んできたみたいに。 「ずいぶんたくさん持ってきたな」  僕は友達の抱えてきたゴミの量にあきれる。 「せっかくなんでも食べてくれるなら、いろいろ片付けてもらおうと思って」  友達はゴミをどさどさと部屋の中に置くと、檻の中のハゲタカを興味深そうに見つめる。 「おお、これがうわさのハゲタカか。さっそくだけど、いっちょばかしやってもらおうか」  僕はハゲタカの入った檻の出入り口を開く。すぐにハゲタカはゴミの匂いをかぎつけて檻から飛び出し、部屋の中をひと旋回したあと、友達の抱えてきたゴミの上に舞い降りた。  バリバリバリバリ。ものすごい音を立てて、ハゲタカは壊れた扇風機を食べはじめる。扇風機は羽根をおおう金属の網を失い、風を送る羽根を失い、羽根をまわすモーターを失っていった。 「こりゃあすごいね。たいしたもんだ」
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