最新型ハゲタカの悲劇

帰りに店をのぞいてみるよ

　扇風機を食べ終わったハゲタカは、さらに古くなった携帯電話を食べはじめる。スマートホンではなく、二つ折りのガラケーだ。ハゲタカはまるで小魚でも飲み込むように携帯電話を食べてしまう。

　それだけではない。鼻緒がちぎれたサンダル、歯がボロボロになって使い物にならなくなったペッパーミル、もうとっくに離婚した夫婦の披露宴でもらった、新郎新婦の写真を焼き付けた大皿……。

　友達の持ってきたゴミを食べつくしたハゲタカは、満足そうに檻の中に戻っていった。

「いや、助かったよ。捨てたくても面倒で捨てられなかったものが一気に片付いて。ほら、ゴミの日って種類によってバラバラだろ。

　たとえば燃えるゴミは毎週月曜と金曜日で、プラスチック類は毎週木曜、家電だと月に一回だけとかさ。でも、ハゲタカがいりゃあ、ゴミが出たときにいつでも処理してもらえるからな」

　友達は満足した表情で、そう僕に言った。

「君もハゲタカ買ってみたらどうだい？」

「うん。帰りに店をのぞいてみるよ」