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ずいぶんとラクになったよ
そういった僕の布教によって、僕のまわりでも少しずつハゲタカを飼う人が増えていった。僕の部屋に大量のゴミを持ち込んだ友達も、ハゲタカを買うようになったと報告してきた。
「いや、こんな便利なものがあるなんてね。ゴミの分別もゴミを出す曜日も、いちいち気にしなくなって、ずいぶんとラクになったよ」
そんなふうに、やがて多くの人々がハゲタカを飼うようになり、ちょっとしたブームになった。テレビ番組やインターネットの記事でも、ゴミを食べ尽くすハゲタカを目にするようになっていった。
「日本政府はこのほど、ゴミを食べるハゲタカを海外への輸出を検討しはじめました。日本のみならず、世界的に直面するゴミ処理の問題は、ようやく日本の技術によって解決の糸口を見出した格好です」
僕は使い終わった乾電池をハゲタカに与えながら、そんなテレビのニュースを眺めていた。ハゲタカは昆虫を食べるようにくちばしでつつきまわしたあと、乾電池を次々に飲み込んでいった。
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