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しょげているユミカにかける言葉も思いつかないまま、オレンジジュースを飲み干してしまった。どうしたものかとストローを弄っていると、ユミカは急に顔を上げて、笑顔を作ろうとした。
「ごめんね、つまんない話して」
彼女の健気な表情に、僕は胸を痛めた。何とかしてあげたいのに言葉が出てこない。
「いや、いいんだ。遠慮しないで。何て言ったらいいのか分からなくて……ちょっと、飲み物取ってくるよ。ユミカはまだいい?」
うん、と頷いたユミカは涙をこらえているように見えた。
やけにリアルな夢を見るものだ。あたかもユミカが目の前にいて、気の毒な境遇を打ち明けられているようで、身につまされる思いがする。こんなとき、何と言えば良いのだろう。普段から他人と話をしない僕は、少し考えたくらいでは気の利いた台詞を用意することができなかった。ゲームなら選択肢から選ぶだけで良いのに。
結局、オレンジジュースを注いで席に戻るまで、ユミカを元気づけられそうな言葉は思いつかなかった。
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