火曜日(1)

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 休み時間、ユミカは友達と話したり教室にいなかったりで、話を聞くことはできなかった。もっとも、彼女と二人きりにでもならなければ、僕から話しかけることなどできなかっただろう。  午前中はずっと山城のことが気になって、授業の内容は一つも頭に入ってこなかった。  昼休みになると再び山城に声をかけられた。彼女は小さな弁当の包みとマグボトルを抱えている。 「屋上、行かない? どうせ一人で食べるんでしょ?」  断ることもできず、僕は呼び出しを食らった生徒のように、おずおずと山城についていった。視線を感じたが後ろは振り向かないようにした。
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