火曜日(4)

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火曜日(4)

 ユミカがもう一度溜息をついた後、僕は尋ねる。 「お父さんやお母さんを説得できないの?」  「……うちのお父さんは明治時代からやって来たような性格で、子供は親の言いなり、女は家庭に入って男に尽くすのが当たり前だって考えてるの。お母さんはお父さんに逆らえないし。だからね、高校を出たら家を出て、アルバイトしながらお金を貯めて、それで写真の勉強するために学校に通おうかと思ってる」  なるほど、と僕は相づちを打った。先程の様子を見ていれば本気なのだとわかる。 「そのことでさっき喧嘩してきたんだ。まあ、いつものことなんだけどね」  ユミカは泣いてこそいなかったが、幾分しょげてしまったのが声色から感じられた。寄り添ってあげたいと思ったが、柄でもないし、僕たちの体は離れすぎていたし、なにより、僕は彼女の恋人でも何でもなかった。
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