▲4六猫刄(みょうじん)

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「……こちらの世界への干渉……今までは見られなかったことが……」  流石の沖島(オキシマ)もそんな実況が限界のようだ。とにかく、異常……今までも大概だったが、それ以上ののっぴきならない状況が突如として起こりかけていた。ビルの壁、車道歩道、縦横高さ関係なく、白い線が格子を形どって張り出すように展開していっている。  いつも「異次元」でレーザーのように射出されて「盤面」を形づくる、あの「白線」だ。しかし普段は整然とした「九×九」の枡目を形成するのに、今はガタガタ。それが何か、イレギュラーな異常感を否応増していくかのようで、僕の胸に嫌な予感が巻き付くようにして離れない。と、その僕の横に、リズミカルに弾むふたつの相似球体が迫ってきた。嫌な予感が瞬時に脈動に吹き消される。 「……とにかく、いま出て来たのんを片付けな。みんな、のっけから全開で行くで」  風花(フウカ)さん(こう書きます)が、重々しい声でそう告げつつ、羽織っていたジャージのポケットから、黒い将棋駒、「ダイショウギ×チェンジャー」を抜き出した。 「ふふふ……この6人の『一斉チェンジ』!! ……初めてのことじゃないかい?」  何故か高揚している波浪田(ハロダ)先輩を尻目に、ミロカさんとかはさっさと変身を開始してるけど。僕も乗り遅れるわけにはいかないっ。 「ダイショウギチェンジ!!」  何人かの声が重なり合い、疾走を続ける僕らの周囲を、赤・緑・黄色などの鮮やかな光が包んでいく。
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