△4七猛牛(もうぎゅう)

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「フウカさんはそのまま『6三』まで駆けて!! そしてモリくんっ!! 『6六』から『7五』『7四』『6三』っ!!」  沖島(オキシマ)……「ショッキング=ピンク盲虎(もうこ)」は、やはりそのキンキンのアニメ声を改める気は更々なさそうだ……変身すると視界を奪われることもあって、ナヤさん……「イエロー猛豹(もうひょう)」に手を引かれての後陣だが、その「指示」は的確この上ない。  その指示通りに、フウカさんの過ぎ去った軌道から左に逸れた僕は、別角度から敵の「歩兵」目掛けて飛び掛かっていく。そのままいびつに張り巡らされている「白線」で囲われた「枡目」を、坂のように駆け上がると、目指す目標が間近に迫ってきた。 <……!!>  図体のでかさも相まって、フウカさんの真っ向突進は何とか受け止めたようだが、所詮は「歩」。斜め右が……お留守になってるぜ!! 「おおおおおっ、『リーオー斬』っ!!」  技名を叫ぶ必要は全くないのだけれど、嘉敷(カシキ)博士により没とされた僕のトゥルーネームの痕跡をっ……心が残したがっているんだっ……!!  右手首を左手で掴み、左肩の方に引き寄せる予備動作の後、左手を離すとともに、反動をつけた右手刀で眼前の敵を切り裂く。  いかな堅牢な外殻を持とうが、巨大な体躯に膨れ上がろうが、「獅子」の一点に集約させた力を喰らって無事な「駒」はいない。「歩兵」は「右側頭部」辺りを砕かれ、黒い破片を散らばせながら、後方、「裂け目」の向こう側へと吹っ飛んでいった。 「オーケーオーケー、いいセッションだぁ、このまま相手のフィールドまで突入としゃれこもうじゃあないかぁ」  遥か後方から、そんな間延びした金づくめの声が響いてくるが。あれセンパイいたんですね。  後陣も後陣、「成るまでは金、成っても素飛車」という、一向に使い道の見えない「ゴールド金飛車(きんびしゃ)」センパイ……囮や陽動程度には使えるんでしょうか。  詮無い思いは振り切って、言われなくとも僕らは躊躇も見せずに、時空の「裂け目」に身を躍らせていく。
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