▲4八飛龍(ひりゅう)

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「……ミロカの感じていた『異状』……この上もないかたちで示されてまったなぁ。これがこいつらの『本気』? それとも『暴走』なんか?」  フウカさんが腕組みしながらそう評すが、そんな余裕は無さそうだ。「対局」のルールとか諸々は、もう遵守されそうな気配は無い。僕らの姿を認めた途端、黒い巨大な「駒」たちは、一斉にこちらに向けて進軍を開始していた。壁が迫ってくるかのような圧迫感に一瞬気圧されてしまうものの、 「……」  紅い光弾が僕の背後からばら撒かれるようにして発射され、敵の最前線を張る「駒」らに平等に撃ち込まれていくのが見えた。わらわらと蠢く、その動きが一瞬止まる。 「何にせよ疑問が解消された。ならば良しだ。相手玉はまだ見えないが関係ない。『全駒』で行くぞ。遅れを取るな」  後ろをちら見すると、銃器を構えたままのミロカさんから、そんな言葉が響いてきた。重く冷静な言葉は、こういった状況の時こそ響く。「全駒」とは相手の駒を全て取り切って玉を丸裸にして嬲るという、正直褒められた行為ではないのだが、相手が相手。  ……存分に狩ってやる。
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