▲5一奔鷲(ほんじゅう)

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「!!」  悟ってる場合じゃない。長尺得物を振り回していた最前線のミロカさんだったが、疲れからか、振り下ろした瞬間、ほんのわずかだが隙が出来てしまったようだ。すかさずそこを狙って「桂馬」が一撃を入れてこようとしているのが、視界に一瞬入った。 「くっ……!!」  ミロカさんも最小限の動きで態勢を立て直そうとするも、右脇腹への「桂馬」の攻撃の方がどう見ても速いっ……!! くそ、間に合えぇぇぇ!! 「……」  次の瞬間、僕の「獅子」能力が発動する。その場に居ながらにして離れた敵を撃つ……「居食い」。この攻撃は……感知できまいっ!! 「……!!」  「桂馬」に見えない一撃を入れてその場に叩きつけた僕は、今度はミロカさんの華奢な体を抱いて再び元の場所へと戻る。瞬間移動……そうとしか見えないはず。 「と……金」  ミロカさんも驚愕で言葉も出ないようだ。仮面の下でさわやかな笑顔をかましてみるも、まあ見えないから意味はないか。と、 「……いつまで触ってんのよ!」  やはり古文書通りのツンが……炸裂すると思ってはいた。思ってはいたが、抱きかかえた腕の中から放たれた最短距離で迫る鋭い掌底は避けられないわけで。  ぺんとはうす、みたいな呻き声を上げて上を向かされた僕の腕からするりと抜けて、ミロカさんは何事も無かったかのように、今度は今しがた盤面に這わされた「桂馬」をサーフボード状に変形させて、空中をうおおと滑空し、敵に体当たりをかましにいっている。 ……こちらのツン力もなかなかに無尽蔵そうで。いや遅れを取ったらあかんって。僕も慌てて前線へと舞い戻る。
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