4人が本棚に入れています
本棚に追加
奥へ……っ!! 奥へ……っ!!
正面一点に対象を絞って喰らい屠り、それを一直線の推進力に代えて最奥を目指していく。トンネルのように狭まってきた空間の先に、これまでここの空間では見かけなかったような、眩い青白い光が瞬いていた。何だ?
「!?」
いきなり、眼前の敵駒の群れが左右に割れる。本能的に何かやばい空気を感じた僕は、跨った「獅子」にも意を即座に伝え、急制動でその場に踏みとどまる。
「……」
一瞬の静寂。その後で、駒たちの群れの中から音も無くこちらに進み出てきた人影、いや、青白い光を全方位に向けて放っている「人間」然とした姿が、宙を浮いて滑るように現れ出て来た。いや、本当に人間なのか?
「……ええ!?」
驚愕の声は、他ならぬ空駆けていた「鳳凰」……ミロカさんの口から放たれたのだけれど。いや、驚くよね。「二次元人」じゃなくて「人間」なんて……それも捉われていたとかの雰囲気はまるで無くて、いたって自然体でその場に浮遊してるなんてね……
「なん……でだ?」
しかし波浪田先輩の、普段は出さないような真面目に困惑している声とかも聞くと、事態ののっぴきならなさは僕の想定以上のことなんじゃないかと、少し不安になってくる。
「……」
僕の左隣まで、何かに憑かれるようにしてにじり出てきた沖島に至っては、頭を覆うマスクだけいつの間にか外していたが、目・口をこれでもかと開いて、言葉を発することも出来ていない。
いったい、何がここまで皆を驚愕させる?
僕は改めて、正面で不敵な笑みを見せる「人間」に向き合う。
最初のコメントを投稿しよう!