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「ふふ、驚愕で頭が回っていないようだが、大丈夫かな? ここまで攻め込まれた以上、こちらとしても『本気』を出さざるを得ないからねぇ」
先女郷が、こちらを見下したかのような、初めて感情の通った表情を見せる。確かにこっちの面々は固まったままで、次の対応が出来そうな状態にない。「将棋」に身近に接してきた分、驚愕の度合いが僕とは段違いに違うのだろう。
……だが、もう受け止めなくちゃあ、ならない。
「みんなっ!! ……僕に続け。敵の『王将』を討ち取れば、全てが終わるはず。目の前の人物が誰であれ、ここまで来たら躊躇してる暇なんてないはずだっ!!」
僕の、精一杯の言葉は、皆に届いてくれただろうか。一瞬後、
「……そんなことは分かっている。と金……お前の非国民的な発言に戸惑わされていただけだ」
僕の背後から、落ち着いたミロカさんの声が。しゃらり、とその雄々しき両翼が健在であることも音で判る。良かった。立ち直って……いる?
「……ま、『非国民』なんは、実はあちらさんの方でしたっちゅう、あま笑えへんオチがついたんやけど、私は案外そういうの好きやで」
どこか笑いを含んだかの口調でフウカさん。いつものペースが戻ってきてる。
よし。臨戦態勢は整っている。相手が誰だろうと何だろうと関係ない。第2ラウンドの開始だっ。
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