△5八副将(ふくしょう)

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「おおおおおっ!!」  この面子揃っての「対局」では初とも言える先陣を切って、僕と、跨った機械仕掛けの「獅子」は、敵の総大将……先女郷(サキオナゴウ)九冠との間合いを一気に詰めていく。  しかし、それを見越していたのか、それを阻むかのように、向こうの敵駒たち、「金」やら「銀」やらが次々と飛び出してきた。砕け散った仲間の破片を吸収した結果、それらの大きさは今やちょっとしたビルくらいはある。まさに迫りくる壁。  だが、そんな鈍重な動きでは、僕らを捉えることなど出来ない。 「……」  五角形の巨大ボディから突き出た「脚部」は、鉄骨をより合わせたような無骨な作りをしているわけだけど、おや? その太さは体自体の大きさには比例出来ていないようだぞ? 見るからに細い。ということは。  僕の狙っていることを先回りして、「イエロー猛豹」ことナヤさんが、その背中に掴まった「豹」と共に、歪む盤面を、地を這うがごとき低い姿勢で疾駆していく。さすがの加速。僕と「獅子」を追い越し、敵陣へ突っ込んでいく。嗚呼、またもや一番槍の殊勲が…… 「遅えええええんんんんだよぁぁぁぁぁぁっ、デカブツがぁぁぁぁぁっぁっ!!」  相手駒に言ったのか、それとも僕に言ったのか、もしくは双方か、それは分からなかったが、その素っ頓狂なテンションも、いつも通りに戻っている。いける。黄色い影が、残像を残すほどのスピードで、敵駒の足元へ……っ!! 「!!」  猛豹の渾身の体当たりにより、バランスの悪い脚を払われ、先頭の「金」が無様にも間抜けにも見える仕草で、後方に向けて盛大にすっ転ぶ。お見事。 「ふっふ……正に、『将棋倒し』、だね?」  波浪田センパイも何とか立ち直ったようだ。自らは何もせずに、後方で余裕げに顎に手を当てると、そんないらんことをのたまっている。けど貴方だけは先ほどまでのシリアスの方が良かったような……
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