▲5九四天王(してんのう)

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「……っらぁぁぁあっ!!」  と、唐突に、スカーレット鳳凰:ミロカさんのテンション入った裂帛の胴間声が開けた空間に響き渡った。その残響を置き去りにして、空気を、空間を切り裂くようなスピードで、20mほど先に浮いている先女郷の元へ吹っ飛ぶように、その真紅のシルエットは突っ込んでいく。 「……」  騎乗する鳳凰と共に、その雄々しく深紅に燃える両翼をはためかせながら、その構えた両手からいつの間にか顕現していた揺らめく「炎の剣」を上段に、目指す「敵」に最短距離でっ……!! 踏み込み速度が尋常じゃない。これは……決まった!! 「……!!」  しかし、上下真一文字の軌道を描いた剣撃は、先女郷の身体には届かなかった。SPよろしくその刃の前に我先へと飛び出して身を挺して受け止めたのは、人間サイズの「金」と「銀」。でかいのを見慣れていた僕には随分とちんまり映ったが、その五角形のボディは先輩と同じく、黄金の輝きを放っていた。鳳凰の最速の一撃はあえなくそれら頑強なボディに弾かれ、ミロカさんは空中でバランスを崩すと、たたらを踏んでしまう。  「モリアーゲミスト」とか言ってたな……最上位の「駒」が突然現れやがった。周囲に視線を飛ばすと、それだけでは無く、黒色と銀色の駒も大小さまざまに「亀裂」から這い出しては、先女郷の周りにミレニアムばりの堅牢囲いを作るかのごとく宙を泳ぐようにして集まってきている。その数は100や200じゃあ利かなさそうだ。
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