△6一大将(たいしょう)

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しかし、 「おやおや、いいのかな? ここはもう君らの世界ということを忘れてやいないかい?」  穏やかで低いが、何故かこの場に鮮明に響く先女郷の声が、少しの笑いを含んで響き渡る。何だ? 「……破片が、罪も無い人々に降り注ぐぞ? とんだ正義の味方だぁ」  しまった。上空で破砕された駒たちの残骸が、重力に従い、地面に次々と落下している。その下には未だ避難が遅れていて泡食っている人たちがいるわけで。上がる悲鳴。だが、 「……『ゲイン=鯨飲=吸おうぜ呑もうぜ夜明けまでの=ブラックボーラー』」  素早く地表すれすれまで下降していた緑の双球戦士、フウカさんの謎技名の詠唱は完了していたようだ。掲げた両手に漆黒の「球体」が発現したかと思うや、その「双球」は激しい振動を見せながら、降り注いでくる駒の破片を全て引き寄せ吸い込んでいく。 「……」  少し先女郷の余裕づらが歪んだようだ。何というかフウカさんがいちばん自由だわー。水を得た鯨が如く、のびのびとした発想力に脱帽しつつ、僕は徐々に開けて来た、敵の総大将までの道を突っ走り始める。
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