△6三雜将(すいしょう)

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 斬る。ただそれだけのイメージを頭の中に思い描く。この鬱陶しい触手らを、ただ断つ、その力を我に。 「……あああああ、顕現しろぉぉぉぉぉっ!! 『リーオー・ブレーズ』ぅぅあああっ!!」  イマジネーションは残念ながらありきたりではあったけど、僕の両手には瞬間、輝く二本の長ドスのような見た目の赤い「剣」が握られている。それらを背中側に思い切り振りかぶってから、「X」の字を描くように前方へと振り下ろす。技自体もどこかで見たような様相だったが、それはもういい。  なぜならこれは「オマジュネイション」。「あー、あれあれ」と万人の共感を得るにつれて力を増す、謎かつ驚異の力なのだから……っ(多分  僕の思い込みにも似た自己暗示の力によってなのか、振り下ろし「X字」からさらに振り上げつつの「X字」の斬撃によって、黒糸触手の網は呆気なくも、ばさらと断たれ四散していく。  先女郷の「本体」まで、残り20mほど。しかしその顔には余裕が笑みの形をもって貼り付いたまま。舐めるなあぁぁぁっ!! <落ちるがいい、蚊トンボ……>  先女郷の最早出どころもよく分からなくなった低音が響くより先に、その「化物」の右腕が水平に差し上げられると、その車両ほどある大きさ長さの黒い金属の塊のようなものが、弾けて何本もの「触手」へと変容してくる。こいつの攻撃もありがちになってきたぞ。かといってそれをいなす有効な手段もないわけだが。 「……!!」  急上昇して何とか黒い触手束をかわす。こいつらをいちいち相手にしてる暇も無い。どうする?
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