▲6六奔獏(ほんばく)

2/3
前へ
/222ページ
次へ
<そレで……対等となッタつもリか……>  空間に響き渡るように聞こえるほどになった、先女郷(サキオナゴウ)のビブラートがかりの低音からはしかし、パーソナリティやら人間味らしきものというのがどんどん抜け落ちてきているように感じる。  一触即発の時は近い。 <だガ、もう貴様ラと遊ンでいる暇は無イ……私は飽いてキテいル……こノ狭い日本ニ、狭い『9×九』の盤上にッ……よって早期決着をこノ手デつける……>  今や「五角形」の鱗がびっしりとその「二足歩行の半魚人」のような(見たことないが)巨大な体を覆いつくした、何ともふさわしいっちゃあふさわしい外見を呈している先女郷が、右腕を軽く掲げた途端、その掌に紫色をした「光の玉」が現出する。 <これハ、今まデに『対局』で屠っテきた人間どもノ『投了』の断末魔を集めタるエネルギー球……ソの破壊力は、半径1kmの全てのモのをなぎ倒すのダ……ッ>  荒唐無稽感は僕より遥か高めであり、なおかつ小学生が考えた必殺技のような解説をのたまうものの、それが真実である可能性は残念ながらかなり高い。  だが、みすみすそれをやらせるか。 <消エろ……ッ!!>  何のタメも無く、地表に向けて放たれたその「紫の玉」は、禍々しい叫び声のような音を放ちながら、徐々に加速していく。 「っカモンっ、イニシアチブ!!」  切なる僕の願いは、何故か正誤不明の英語となって喉奥から放たれるものの、それがきっかけとなって、「ダイ×ショウギ×オー」の「運転中枢」らしきものに、僕の思考が直結した感覚を、確かに実感した。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加