▲6八方行(ほうぎょう)

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「『投了』は……怨嗟なんかじゃない、断末魔なんかじゃあない……っ!! 己の負けを己で認め、さらなる成長へ歩み出すための……っ!! 魂の決意表明だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  押し出し、押し返す。空へ。 <……>  「紫玉」は僕らの渾身のエネルギーを受けると、ぬるりと一瞬滑るかのような挙動をしたものの、呆気なく上空へとはじき返された。そのまま「半魚人」然とした姿かたちの先女郷(サキオナゴウ)の右頬辺りを掠めると、あっという間に虚空へと飛び去っていく。何とか……しのげたぞっ。 <……>  中空に、無言で浮かぶ先女郷の巨体。言葉も、行動も忘れているかのように、ただ浮いている。自失でもしてるのか? いい加減、思い知れよ。お前の思い通りになる世界なんか、ここには無いんだよ!! 「おおおおおっ!!」  完全に、全自分にヒーロー気質がインプットされたかのような僕は、雄叫びを一発かますと、ムカデレースのような合体フォルムのまま、一気に間合いを詰める。  やはりマッスルの申し子たる自分、ここは肉弾戦で決着をつけたい……ッ!!  茫然としていた怪物は、突っ込んできた僕らのロボに一瞬、我に返った素振りを見せるけれど、遅いっ!! 「!!」  反射的に出してきた相手の両腕をがっちり掴み、ロックアップの体勢へと持ち込む。  よーしよしよしよしよしよし。こっからが喧嘩だぁぁぁぁっ!!
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