△6九走車(そうしゃ)

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「っらああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  刹那、僕は組み合っていたロボの右腕を抜いて、左に泳いだ怪物の体を後方へと向けて渾身の力で投げ放った。 <!!>  先女郷は思考の埒外だったのか、それとも抗えない「何かの力」がこの場に働いているのか、リングを巡るロープに向けてあっさり走らされていくと、これも何かの「力」なのか、その直前でくるりと体勢を変えて背中で受け止めつつも弾き返され、再びリングの真ん中に戻って来る。 「くらえあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  それを待ち構えていた僕は、ロボの巨体を宙に躍らせると、ケレン味たっぷりな、それでいて威力も死んでいない、芸術的なドロップキックを相手の鎖骨付近に浴びせてやる。コーナーに吹っ飛ぶ化物。 「……ノリノリやぁん、新人くんはプロレス畑のヒトなんやなー」  一同六人が会したロボの操縦席。斜め前の「グリーン反車」フウカさんが、こうなったら私ら傍観者やな、と呟く。どこか面白がっているかのような口調で。 「え……サッカーやってた頃の面影とか……無い」  右隣の「ピンク盲豹」沖島(オキシマ)は、そんな感情の抜け落ちたかのような、幻滅感を滲ませたというくらいでは生ぬるそうな、温度の無い発言を漏れこぼしているが。  チャンス到来。ここで決めてやるっ!!
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