△7四鉤行(こうぎょう)

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 静かな怒りは、表面上は収まったように思えた。が、それは上っ面だけのことであって、皮一枚の下には、抑え切れない奔流を無理やり全身に巡らすエネルギーに換えて収めているような、そんな持て余し気味の熱の滾りを、冷えた頭で感じている。  スクリーン越しの前方には、触手のあらかたを失って茫然としているかのような先女郷(サキオナゴウ)の間抜けな姿があるばかりだ。  「リング」は既にバラしていたから、先ほどまでのように、その半魚人じみた巨体を宙に浮かせている。かくいうこの「ダイショウギオー」も説明不能の力で空に佇んでいるわけだが。ここで、この場所で。  決着を、つけようぜ。 <マだ……抵抗すル気配ヲ見せルとは、実に興味深イ……クくクク、またさっきノ奇天烈な技デもって向かッてクルのカ? まったクもって、私ニは効かンがナぁ>  お前のそのツラも、持って回ったような口調ももう、うんざり飽きてきてるんだよ。  ……お前を、身体ごと魂ごと、刈り取ってやる!! 「おおおおおッ!!」  大将棋神よ、いるのなら、いまこの瞬間だけ、僕に力を。 「……!!」  瞬間、僕らのロボのボディが、黄金色に輝く。  力が流れ込んでくるような感覚……先女郷に取り込まれた人たちが、僕らに力を与えてくれているのだろうか。その半魚人の体躯のあちこちから煙のように上がっている「黄金色」のエネルギーの流れが、僕らの許へとたなびくようにして流れ込んでくるのを感じている。  ありがちな感じだが、それこそが「オマジュネイション」のシンプルなパワー。カタルシスをシンプルに力に変換させて、お前を討つ。
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