△7四鉤行(こうぎょう)

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<……こザかシイ>  少し体、萎んで来てないか? 「黄金色の煙」が立ち昇る先女郷の黒い「鱗」状の駒に包まれた体は、その表面が萎びてきているかのようにも見えた。そしてその全身に力が集まってきていることも「知覚」出来ていた。 「……」  一瞬、体を収縮させたように見えた先女郷から、弾けるように例の「触手」が何本も、こちらに向けて突き出されてくる。さっきまでのよりも太く長い。そしてそれらが縒り集まっているので一本の巨大なもののようにも見える。  単純に来やがったか。単純が強いっていうのはもちろん賛同できるが……  僕はロボの左腕、「赤い獅子」が変形した部分を軽く持ち上げる。掌を開き、迫る「触手」へ無造作に突き出す。単純さで、僕に勝てると思うなよ? <!!>  その黄金に輝く掌に衝突した「触手」は、トコロテンのように指と指の間をすり抜けつつ、力を失ってどんどん垂れ下がっていく。僕らの身体には到達しない。永遠に。
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