△1八玉

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立ち上がって見渡すも、降りたところは薄暗い。そして湿っぽい。 エレベーターホールくらいの広さの空間だった。左手に簡素な金属扉がうっすら見える。老人の姿は見えない。と言うことは。 「……」  選択肢は、どう捻り出そうとしても、ひとつしか無さそうだった。意を決し、妙に生温かい、その金属扉のノブを回して押し開けていく。 「!!」  いきなりの眩しい光と熱、そしてむわりと汗が結晶化してから昇華したかのような、独特のむせ返る臭気が僕の全身を包んだわけで。  夢かと見まごう光景がそこにはあった。いや、あったはあったが、正確には悪夢も六割くらい混ざっていた。 「……」  無言でマシンを押したり引いたり格闘している、老若男女。その静かなる熱気が、通用口っぽいところからまろび出て来た僕を直撃した。  チェストプレス、シーテッドショルダープレス、などなど、カシキ老人が列挙していた、魅惑のトレーニングマシンが確かに、ずらりとその体育館くらいはあるんじゃないかほどのスペースに、そんなに密集してて大丈夫? くらいに林立している。     
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