△2五奔猪(ほんちょ)

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「……ダイショウギレンジャー……レッド獅子っ!!」  空中で雄叫び一発、不安定な体勢でキメポーズを取ってみる。全身を包む赤いスーツに、胴部には黒い金属質の「防弾ベスト」のようなアーマー。やはりこれを装着するとテンションが二割は増す。 「……後で話がある。こんなザコ戦は……最短手数で詰ますわよ」  戦意あるいは殺意がどうも僕側の方に向けられていそうなミロカさんが、黒い印籠サイズの将棋駒こと、「ダイショウギ×チェンジャー」を胸の前に翳す。そこに刻まれた文字は「鳳凰」。 「……ダイショウギチェンジ」  憤怒、恥辱、あと何か、を鋼の意志で自分の中に押し込めているようなそんな張りつめた声でミロカさんが言い放つと共に、そのしなやかな体は赤色の光に包まれる。  虚空に現れた光る赤い粒子が、ミロカさんに向け集約していく。きらめき、まばゆい光線を周囲に放ちながら。そして集約した一点で、爆発的に拡散する……僕の時と演出だいぶ違ーう。  光が収まった中心に現れたその姿は、しなやかなシルエットはそのままで、僕と同じようなスーツを体にフィットさせた、勇ましくも神々しい姿であった。  ただ、背中からはそれこそ鳳凰が如くの黒い「翼」が大迫力で展開しており、右手にはベレッタM92のような自動拳銃然としたフォルムのを、左手にはS&W M686のようなリボルバー然としたフォルムの「銃器」を携えていたりして、えー、装備にも差があるー。
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