▲3三飛鹿(ひろく)

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 少々の同情感に包まれる僕の尻のあたりが振動する。ポシェットからタブレットを取り出すと、「禿頭(トクト) 三郎花(ミロカ)からメッセージです」の文字が。  漢字で書くとえらい名前のその人と、別れ際アドレスを交換したのであった。あ、明日きちんと返事しなさいよっ、との言葉に、僕は嬉しさが無論、満ち満ちているものの、言葉で説明できない、もやもや感も混ざり合っているといったような、何とも言えない気分でいる。  何だろう、追加のお叱りかな? と内心びくつきながらメッセージを開くとそこには、 <アリガトウ。戦ッテクレテ。引ッパタイテクレテ>  あっるぇ~? 一世紀前の携帯から送ってるのかなこれ? みたいなカタカナが羅列されていたけど、もうそれが彼女特有の照れ隠しなんだろうことは、わかってしまう。  わかってしまうんだ。だから。 「うおおおおおおおおおおおっ」  もう一度、腹からの叫びというやつをかましてみる。道行く人がちら見しつつ早足になって離れていくけど。そこかしこにある監視カメラがキュイイと僕にフォーカスを絞ってくるけど。  もやもやしている場合じゃない。迷う要素あるか? 人生に一発穴を開けてやるんだ。  心の奥底で、いつも描いていた子供じみた夢。でもそれは全然僕の中で色褪せてなんかいなかった。むしろことここに至って、ギラつくような妙な輝きすら有してきている。  僕は……僕が、世間に反発するようにずっと、ずっと体を鍛え抜いていたのは何のためだ?   ……正義のヒーローとなるためだっ!!  多分。
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