4人が本棚に入れています
本棚に追加
少々の同情感に包まれる僕の尻のあたりが振動する。ポシェットからタブレットを取り出すと、「禿頭 三郎花からメッセージです」の文字が。
漢字で書くとえらい名前のその人と、別れ際アドレスを交換したのであった。あ、明日きちんと返事しなさいよっ、との言葉に、僕は嬉しさが無論、満ち満ちているものの、言葉で説明できない、もやもや感も混ざり合っているといったような、何とも言えない気分でいる。
何だろう、追加のお叱りかな? と内心びくつきながらメッセージを開くとそこには、
<アリガトウ。戦ッテクレテ。引ッパタイテクレテ>
あっるぇ~? 一世紀前の携帯から送ってるのかなこれ? みたいなカタカナが羅列されていたけど、もうそれが彼女特有の照れ隠しなんだろうことは、わかってしまう。
わかってしまうんだ。だから。
「うおおおおおおおおおおおっ」
もう一度、腹からの叫びというやつをかましてみる。道行く人がちら見しつつ早足になって離れていくけど。そこかしこにある監視カメラがキュイイと僕にフォーカスを絞ってくるけど。
もやもやしている場合じゃない。迷う要素あるか? 人生に一発穴を開けてやるんだ。
心の奥底で、いつも描いていた子供じみた夢。でもそれは全然僕の中で色褪せてなんかいなかった。むしろことここに至って、ギラつくような妙な輝きすら有してきている。
僕は……僕が、世間に反発するようにずっと、ずっと体を鍛え抜いていたのは何のためだ?
……正義のヒーローとなるためだっ!!
多分。
最初のコメントを投稿しよう!