△3八飛鷲(ひじゅう)

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「……スカーレット鳳凰」  レーザービームのような縦横に走る光で区切られた「九×九」の盤面に音もなく舞い降りたミロカさんは、一対の黒い翼を展開した、いつぞや(昨日か、もはや懐かしい)の凛々しくも華麗なる赤き戦士の姿へ変貌を遂げている。 「四人揃ってッ!! ……摩訶大戦隊、『ダイショウギレンジャー』ッ!!」  「着地」を感じた瞬間、僕もキメを放つ。今回も僕の初期配置は「8八」の本来なら「角」がいるところだ。そこから一マス飛ばしに右に、沖島、先輩、ミロカさんと並ぶ。一列に並んでの見栄切りは、何だろう古典をなぞっているかのようで何故か奥ゆかしく、誇らしくも感じるのであった。  ……感じている場合じゃあない。本局こそ活躍。それが僕のマスト。  今回僕らの他に引き込まれたのは、5名。僕らのひとつ後ろの段に、「銀金玉金銀」と並んでいる。リーマン・学生・ばあちゃん・学生・リーマンの順に規則正しく並んでいて、例外なくそれらの顔は一様に驚愕でこわばっているものの、僕らの突拍子もない姿も、それに一役買っていると言っても過言ではないかも知れない。  ともかく、僕らの「後ろ」にいるということは重要だ。我々が前へ前へ出ていき盤面を制圧すれば、誰にも恐ろしい体験をさせずに、この対局を終わらせることが可能なはず……。  一般の人を守る。それが僕の考えるヒーローの基本原理だと、思うから。 ……やってやるぞ。これを「レッド獅子」の初陣と改竄出来うるほどの活躍を見せてやるっ!!
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