あの日捨てたもの

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あの日捨てたもの

 「ごめんなさい。どうしてもあなたを育てることはできないの。こんなお母さんを許してちょうだい」  赤子を抱えた女は、はらはらと涙を流しながらそう言った。女は人気のない路地裏に自分の子供を捨てに来たのだ。  動かなくなった掃除機に、いらなくなったランプ。路地裏は誰が置いていったのかわからない沢山の物で溢れていた。粗大ごみばかりのその中で、女は見たことのないものをみつけた。  「あら、これは何かしら?」 それは、何に使うのかはわからないけれど、真新しくて綺麗な状態だった。  「なんだか赤ちゃんを寝かせるのに丁度いい大きさね。そうだ、野犬に襲われたりしないようにこの中に寝かせておきましょう。どうか心優しい人に拾ってもらえますように」
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