0人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日捨てたもの
「ごめんなさい。どうしてもあなたを育てることはできないの。こんなお母さんを許してちょうだい」
赤子を抱えた女は、はらはらと涙を流しながらそう言った。女は人気のない路地裏に自分の子供を捨てに来たのだ。
動かなくなった掃除機に、いらなくなったランプ。路地裏は誰が置いていったのかわからない沢山の物で溢れていた。粗大ごみばかりのその中で、女は見たことのないものをみつけた。
「あら、これは何かしら?」
それは、何に使うのかはわからないけれど、真新しくて綺麗な状態だった。
「なんだか赤ちゃんを寝かせるのに丁度いい大きさね。そうだ、野犬に襲われたりしないようにこの中に寝かせておきましょう。どうか心優しい人に拾ってもらえますように」
最初のコメントを投稿しよう!