俺の名前は林満

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俺の名前は林満

荒木田「ところで林さん、この下のほうのお名前はなんとお呼びするんですか?ミツルさん?」 林「そうです。満杯の満と書いてミツルです。ハヤシミツル。名は体をじゃないですが、私の人生そのもののような名前でして。行く手をさえぎる生い茂った雑木、林に囲まれて身動きができない、八方ふさがりのような状態なんです。はい」 荒木田「そうなんですか。それは困ったもんですね」 林「ありがとう、そう云ってくれて……しかし実はその雑木、行く手をふさぐ木々というのは、私にとっては世間、人間どものことなんです。差別や罵り、イジメごころに充ちた、鼻持ちならない輩(うから)どものこと。私のまわりにはそういった連中が多すぎて……もう、そもそも見たくないんです!聞きたくない、関わりたくない、こんなやつらと。いっさい御免だ!」 荒木田「そ、そうですか。それはどうも。私も一応人間だと思いますので、そんな私が見えちゃってすみません」 林「あ、いえ、とんでもない!誰があなたのような方を嫌い、敬遠しますか?あなたがそんな連中の範疇に属するとは決して思いません。しっかりと自己を確立していらっしゃる方だとお見受けします」 荒木田「あら、お会いしてからたった5分くらいの間に、そんなことがわかりますの?もしかしたら私もあなたのおっしゃる、その輩(うから)かも知れませんよ(軽笑)」 林「断じてない!私は嗅覚のようなものが発達しているんです。もっぱら群れ指向で、イジメの的をつくってはひとつに固まるような連中。自分が的になることをひたすら恐れて、強い者に付き、そいつの意向のもとに無難に日々を過ごしさえすればいい、そんな連中はそもそも身体から毒のオーラが出ているんです。あなたからはそれは皆無です」
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